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2013年9月18日水曜日

教師という仕事と授業技術




授業アンケートでは、授業における指導力を要素分解して、それぞれの要素の重要度と満足度を分析します。
しかし、要素的であることには限界があります。

ある授業がうまくいくかどうかは、その授業に対して準備する熱量と時間、技能と経験があったかどうか、そのクラスとの関係性を構築するうえでの相性と期間・取組、その単元についての自身の理解や体験、その日授業をする時の教師と生徒のコンディション、授業の流れの中での生徒の反応、そうした様々な条件や不確実性をコントロールして、偶発性の中で自然と身体が動くかどうか、こうしたことまで授業アンケートだけでは測りきれません。

授業の「技術」というと、何か確かなものが想起されるかもしれませんが、それを言葉で伝えようとすると授業の「肝」になっていることをつかみ損ねてしまうような隔靴掻痒の思いをします。

しかし、授業の名人・達人は存在します。では、何がその先生たちを名人・達人たらしめたのか。それは、リフレクションなのだと思います。

上智大学の奈須正裕教授が「教師という仕事と授業技術」という本で、名人は授業の上達のために何かしら継続して行っていることがあると言います。
「放課後、教卓に座り、子どものいない机に一つづつ目を落として、今日この子はどうしていたか、自分はこの子に何をしてやれたかを考える」
「自分の授業をテープに録音し、授業記録におこし、行き帰りの電車で何日も繰り返し読み込む」
こうしたリフレクションに基づく改善を地道に継続した結果、驚くような授業が生まれるのだそうです。

その他、授業を振り返る際の視点もいくつか紹介されています。

「この単元では、学習指導要領の内容項目の何番と何番を狙っているか」

「どうせやるなら本物を目指す」

「その子の言おうとしていることを、教室の誰よりも教師自身が聴きたい、知りたいと思う」

「予定を消化するために先に進む『技』よりも、止まるべきところでキチンと止まる『技』の方が、より高度にして本質的である」

「多くの教師は前半部ではよく止まるが、残り時間が減ると止まらなくなる。名人はむしろ後半部においてよく止まる。」

「一つの単元を生み出すのに、3種類の異なる流れを考えてみる」
「指導案と現実のズレこそ重要な情報である」

「研究の勢いが衰えない学校は、必ずと言っていいほど子どもの学びを研究の中心に据え、常に具体的な子どもの姿を語ることから、すべてを開始している」

「丹念な実践の事実との向かい合いから紡ぎだされた言葉こそが実は確かな理論」

などです。

初任者であれば、まずは自分の授業をICレコーダーやビデオに収録して、丁寧に授業記録を起こすという作業から始めましょう、と提案されています。そして、超一流の授業や先生に深く親しむことが大事だといいます。しかし、何か超一流であるかは素人にはわかりません。そこにこそ、先輩教師が助言できることがあるのかもしれません。

http://www.amazon.co.jp/教師という仕事と授業技術-学力が身に付く授業の「技」-奈須-正裕/dp/4324078335/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1379480004&sr=8-1&keywords=教師という仕事と授業技術

2013年9月2日月曜日

講師のタイプ

2013年7月4日 フェイスブック

授業というものは不思議なもので、中途半端な知識を持っている人が話すと生徒もそれを感じて興味なさそうに寝てしまいます。

かと言って、生徒同士の話し合いや映像教材などを用いて関心を高めることに時間を使いすぎると、「ちゃんと講義をしてくれ」と文句を言います。

生徒には知的好奇心があり、教師の専門知識をわかりやすく教えてほしいという気持ちがあることの表れですね。しかし、これを行うためには教師側でかなりの教材研究と授業経験が要求されます。

河合塾の実況中継シリーズを読むとそうしたことを感じさせてくれます。日本史の石川晶康先生は、講師のタイプを3つに分類します。
扱う内容を100として、入試で高得点を確保するために80が必要、60~70で合格ラインと設定したうえで、

Aタイプは0~60の範囲をやさしく楽しく教える。「こんなのできなくていいよ」と負担感を軽減してくれるのでやさしい教師として支持されます。

Bタイプは60~120の範囲をビシビシ教え込む。絶対○○大学合格、日本史で徹底的に点を稼ぎたいという生徒から信者が現れます。

Cタイプは60~100を重点に、実際の入試問題を分析します。プロ中のプロとして安定した支持を得ます。

どのタイプの講師にも長所があるといいます。ちなみに、石川先生は忘れることを前提に、100学んで20は忘れても合格、というタイプだそうです。

原始から古代の実況中継を見ますと、
・かならず前回の部分を通読してから次の回に進むこと
・サブノートにはすぐ書き込まないで、復讐の時に書き込むこと
・史料に強くなるためには、声に出して何度も読むこと
と、学習方法のコツがちりばめられています。

教師を初めて10年以内に、自分でこうした実況中継テキストを作成できるようになることが、教科の専門性を高めるうえでの一つの目安になるのではないか、と思います。

http://www.amazon.co.jp/NEW石川日本史B講義の実況中継-原始~古代-実況中継シリーズ-石川-晶康/dp/4875685572/ref=sr_1_4?ie=UTF8&qid=1372904889&sr=8-4&keywords=石川日本史B 講義の実況中継

スローリーディング

2013年6月6日 フェイスブックより

前回はe-ラーニングをとりあげましたが、今回はその逆というような、灘校国語教師の橋本武先生の「奇跡の教室」を取りあげたいと思います。

その授業は、「銀の匙」を3年間かけて読むというスローリーディングです。
これは、とても勇気のいる決断ですし、毎回読む場面に応じた仕掛けを用意することは、単に教科書をこなすだけの授業よりも準備に時間がかかると思います。
こうした授業ができるのは、灘の生徒だからという声もありそうですが、「あなたは中学時代の授業の内容を覚えていますか。先生のことは覚えていても、何を読んだかまでは覚えていないんとちゃいますか。何も残っていない。ゼロ。そうしたことを自分はやってたんやなぁ、と思った。」というのがきっかけだそうです。これは、先生をされているのであれば、誰しも思うことなのではないかと思います。

そうした授業を、弁護士になった生徒は「こちらで勝手に疑問をもつように、誰もが興味をもつような、それから自分でどんどんのめり込むような工夫のある授業だった」「一生忘れちゃいけないんだよ、という物の見方や感受性を伝えたかったのだと思います」と振り返ります。

また裁判官になった生徒は、「最後にものをいうのは法律知識でなく、教養などといわれる、ベースになるものの考え方。それを教えてもらった。」といいます。

「国語はすべての教科の背骨だ」という言葉はよく言われますが、それを鍛えるために、これだという本を選び3年間教えるには、教師の側にその本にとことん向き合い、深く入り込んだ経験がなければできないことだと思います。そうした一冊を持っているか、という質問は、かなりクリティカルな質問のように思います。

2ページづつ、各人で表題を付け、グループでどの表題がよいかを議論する。友達といろいろ話し合い、自分でわくわくするような発見をし、書き込んだプリントが、最後に研究ノートとして一つの冊子になる。こうして、ゆっくりと、ゆたかに流れる時間に浸るような授業が受けられる中学校っていいですよね。

http://www.amazon.co.jp/奇跡の教室-エチ先生と『銀の匙』の子どもたち-伊藤-氏貴/dp/4093881634/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1370486376&sr=8-1&keywords=奇跡の教室


追記(2013年9月2日):
しかし、橋本先生に関する著作を色々と読むと、小説や古典について毎月課題作文を書いたり、古典についてグループ研究をして論文集を作成したりと、かなりハードな課題もあったようです。橋本先生は、「書く」ということの習慣化を特に意識されていたようで、体験を通じた知識の身体化や思考の深化を目的としたスローリーディングの背骨を支えていたのは、こうした課題だということがわかります。
すなわち、授業において徹底的に生徒の関心を高め、課題において生徒の心身を鍛え上げる、そしてグループ討議を通じて思考の幅を広げたり深め、プリントや論文集を和綴じにして目に見える形にして学習ポートフォリオを作成する、という様々なアプローチを統合した授業をされていたことがわかりました。

東大生の中学時代

2013年6月3日 フェイスブックより

今年、東大連続合格を狙う中高一貫校と関わる機会があり、少し情報を集めたところ東大家庭教師友の会が発行する「東大生の中学時代」という本を見つけました。東大生80名へのアンケートやインタビューをもとにしています。いくつか面白かったところを書き出してみます。


・東大生の「勉強していない」は本当か
→移動時間中に英単語を覚えたり、塾で講義を受ける時間は入っていない。「ナチュラルな天才」への憧れから「あまりしなかった」と答えるけれども、いろいろな工夫をして勉強している。


・東大生の勉強方法
→一度間違えた問題は2週間後にもう一度解いて徹底的に攻略
。ただし、良問を厳選する。/質の高い参考書を見極める。発行年の新しいものを手に取る。

どういった問題や参考書が良いかは、教師のアドバイスが必要なところですね。


・塾との関係
→授業を聞かずに塾の課題に追われているのは非効率。授業を聞いて理解する方が楽。授業をよく聞かず後で勉強しなおすのも同様。

これも授業の質が問われるところです。



・授業中の姿勢
→同じ授業をずっと集中して聞くのは難しい。先生の出す「重要だぞ」というサインがでたら集中する。また、予習をして分からなかったところは集中する。

意外に、わかりやすい「大事だ」サインが必要だということですね。ちなみに、予習については「予習してわかるような内容なら授業で理解すればいい。反対に、予習で分からないところは考えてもムダ。いずれにしても授業をきちんと聞いていれば済む話。」という予習不要論も。いずれにしても、こういう生徒

を相手にするのであれば、一回一回の授業の教師側の準備がとても大事になりなすね。

・参考書のやり方
→数学は新しい問題をいくつも解く。一方、英語は同じ文を何度も読んで頭に叩き込む、という教科によってやり方を変える意見。一冊の問題集を徹底的にやり込むことで本番前に自信が持てた、という意見も。

・英単語
→毎日20個。3日ほど目を通したら、10個づつずらしながら覚える。英単語を覚えると英文が読めるようになることが楽しかった。



・ごほうび
→成績が良かったら高価なゲームを買ってやる、という体験をした人もいたが、その人もそれがきっかけで机に向かい、次第に成績がよくなることが快感となった、ということでした。学習意欲の市川モデルですと、報酬志向→自尊志向→訓練志向というプロセスでしょうか。どのように移行させるかが大事なところですね。

・計画表よりも勉強後の記録を
→毎日「○○の××を3ページ」など「やったことノート」をつけていた。勉強は効率があがる時もあればはかどらない時もある。それがノートを見ると一目瞭然。本番前に「これだけやった」という自信にもなるし、翌日にやらなければならない内容を整理することができた。勉強もスポーツと同じくメンタルな部分のコントロールが大事ということですね。勉強でも仕事でも取り掛かるまでの心理的ハードルがエネルギーを食いますが、振り返って次に何をしなければいけないかを絞り込むことで、翌日すぐに勉強にとりかかれる、ということも、このメンタルコントロールに含まれるのかも。質の高いルーティンですね。



・教員への印象
→「サバンナのビデオを見せられて、次の授業までにビデオに関することから自分でテーマを設定して調べてレポートを提出」「数検を勧められて高度なテキストを渡された。その誘いがうれしかった。」と知的好奇心を喚起する教員に関する意見もありましたが、そうでない教員についての意見も。しかし、後者の教員についても「当時は、それでも自分達より知識や経験を持った大人。そこから学べることは多いので、『予備校の先生より授業が下手』とか言う意見はどうかと思う。」という意見もありました。


上記のような意見を通じて見えてくるのは、

「どうすれば効率よく勉強できるか」を常に研究している姿勢のようにも見えます。

そうさせる理由は、部活や生徒会などに忙しい中学時代という背景、時間マネジメントをする必要があるということが関係しているように思います。実際、「早く部活をやめた友達の方が、気がゆるんでしまい成績が下がっていた」という意見もありました。

中学時代は、いろいろな経験をする中で、自分なりの勉強の仕方を模索すること自体に意味がある時期なのかもしれませんね。

http://www.amazon.co.jp/東大生の中学時代-東大家庭教師友の会/dp/4569770215/ref=tmm_tankobon_meta_binding_title_0?ie=UTF8&qid=1370236301&sr=8-1

花壇に水をやる子どもへの声がけ

2013年5月24日 フェイスブックより

有名な話なのでしょうか。
花壇係の教師が担任にお願いをしました。
「今日は雨が降っていますが、先日の雨の日、傘をさして学級花壇に水やりをしている子どもがいました。なんのために水をやるのかよく教えてほしいと思います。」

多くの教職員は失笑しながら「まったく、いまの子は」とあきれ、県の指導主事は「雨であっても教師の言うことにすなおに従う良い子ども達だ」と喜びました。

ところが、一年生を担任しているベテランの先生は、
「なぜ雨の日に水をやるのだろうか。」と感じ、雨の中、花壇にあげている子どもを見つけ、そっと近づいて聞いた。
「雨が降っているのにどうして水やりをしたの?」
「だって、先生。雨の水よりも、水道の水のほうがきれいなんだもの。きっと、きれいな花が咲くよ。」

子どもの行動を見たとき、まずはなぜそれをしたのかを聴いて、理解し、共感することが大事だという話です。

たくさんの本を書かれている家本芳郎さんですが、「<教育力>をみがく」は特に評価が高いようです。
その根本にある考え方は、以下のようなポイントにあると思われます。

・まず実態を調べる
・いくつかの方法を試し研究する
・指導目標は決めるが、方法は統一せず、それぞれの実践・研究を交流し、検証する
・こどもの自主性を育てる

初任者の先生で、まだ読まれていないという方がいらっしゃれば買って損のない本です。

http://www.amazon.co.jp/“教育力”をみがく-寺子屋新書-家本-芳郎/dp/4901330470/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1369361186&sr=8-1&keywords=教育力をみがく

教師になるということ

フェイスブック 2013年4月27日

ゴールデンウィーク前半が始まりました。
多くの先生は新年度の慌ただしさから一息ついて、これからの一年をどうしていこうか考えておられるのではないでしょうか。
今年、初めて教師になった人はどのような気持ちでいるのでしょうか。

こうした機会に、「なぜ教師になりたいと思ったのか」というスタート地点を確認しておくことも大事かもしれません。
教師を目指す人向けに書かれた「教師になるということ」という本は、冒頭でその思いを書くことから始まります。

最初に、「学級担任の仕事を教える講座を持っている教員養成課程がない」という指摘も興味深いのですが、本の中から振り返りの良い問いかけになりそうなものをピックアップしておきます。

Q:プロになるためにはどれくらいの時間の修練が必要でしょうか?
A:1万時間。一日6時間、週5日、夏・冬休みを抜いて考えると8年3か月の計算です。授業のプロになる道はなかなか長く厳しいものですね。

Q:中学2年生の生徒が3階にある教室の窓枠に腰かけて休み時間を過ごしていたとします。どうしますか?
A:示された答えは「放っておく」「大声で止めろ!と叫ぶ」「生徒の傍に行って、ダメだぞと優しく声をかける」「生徒は驚かないが、届く声で、おい、と呼ぶ」「生徒を見つけて、(教師の存在に)気づかせて止めさせる」というもので、後ろの答えの方が良いとされています。
これは、教師に必要な力としての「(命を守るうえでの)管理の力」「指導の力」「人格の力」のうち、「管理の力」の例として示されています。管理教育という意味ではなく、あくまで命を守る、という意味で使われています。
中学2年生という多感な時期のことを考えると「傍に行って一緒に窓の外に目をやり、何を見てたの、と聞く」という答えもありそうですね。

Q:学力は勉強時間に比例して伸びるか?
A:伸びない。学力は、閾値(いきち)に達したときに急激に向上する。

Q:中学一年生の男の子が、小学校で覚えておくべき漢字がほとんど身についていない。どう指導するか?
A:他のクラスメイトと格差が生じないように、まったく別のハードルを用意して授業を設計する。
普通に授業をすれば、この男の子と他の子の差は埋まらないまま授業が進みます。すると、この男の子は早い段階でやる気を失ってしまうでしょう。
そこで、筆者は「漢字版、ウォーリーを探せ」(「鳥」(とり)という字が100個程度並ぶ中で「烏」(からす)という字を二つほど混ぜておく」というゲームや、「漢字のルーツを知る」(篆書(てんしょ)という昔の漢字の形から、今の漢字とその読み方や意味を知る」というワークを考えます。後者は、筆者が書道に通じていたということから生まれた発想です。

こうした取り組みは、「分からないことがあったら子どもに聞け」という先達の言葉と、筆者の専門性、そして子ども達の抱える課題を何とか解決しようという想いとそのための絶え間ない工夫により生まれています。

このゴールデンウィーク中に、「なぜ教師になったのか」というスタート地点を確認し、自分の専門性を活かした授業設計をしておきたいですね。

http://www.amazon.co.jp/新版-教師になるということ-池田-修/dp/4313652361/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1367042951&sr=8-1&keywords=教師になるということ

授業を振り返る3つの質問

2013年4月22日 フェイスブックより

授業が本格化したと思ったらゴールデンウィークに突入し、なかなかリズムをつくるのが難しいですね。しかし、ゴールデンウィーク前にきちんと学ぶ姿勢を作っておき、ゴールデンウィークを計画的に過ごすことができれば、よいスタートが切れるかもしれません。そこで、2007年2月の月刊ホームルームの特集「生徒の学ぶ意欲を引き出す教師の力」から、参考になる箇所を拾ってみます。

【フロウ体験】
生徒の学ぶ意欲を考える上で知っておくと良い言葉として、フロウ体験という言葉があります。ためしにパソコンで打って見て頂くと、なかなか興味深い漢字に変換してくれる言葉です。
これは、端的に言えば無我夢中になりその課題に没頭する状態です。学ぶ意欲にひきつけて言えば、「課題の難度と生徒の能力の組み合わせによって生徒が感じる「不安」と「退屈」が、バランスのとれている場合に生じる体験」と説明されています(p.8)。

「ちょうどよい課題の設定」、これは教師のわざの中でもかなり高度な部類に入るのではないでしょうか。これを行うためには、まず体系的かつ深い教材理解が必要となることに加え、生徒個々の理解度のみならず、その性格までも把握しておくことが必要とされます。その上で、生徒に「入る」角度での質問や課題設定をする技術が要求されます。
習熟度別授業であれば、ある程度クラスのレベルに応じた課題を設定されている先生は多いでしょう。クラスのバラつきが大きい場合は、ある程度できる生徒、あまりできない生徒、部活などで時間がとれない生徒、と大きく3段階くらいに分けて課題を設定されている先生もいらっしゃいました。

【授業を振り返るための3つの質問】
また、これは教科会や学年会、もしくは今夏の研修会などでこうしたことを考える機会を設けるとよいと思う記事もありました。「博士の愛した数式」という映画から始まるこの記事は、自分の授業を考え直すために3つの質問を設けています(p.16)。

1.先生の実践を一つだけ聞きたい、と言われたらどの授業の話をしてくれますか?
2.先生の教え子たちに、「○○先生の授業で、いい意味で印象に残っている授業は何ですか?」と聞いたら、生徒は何と答えると思いますか?
3.退職を迎えたとき、最後の授業としてどんな授業をしたいですか?

これら質問は、自分の授業を意識化する上で面白い質問だと思います。もちろん、日常の授業において、映画にでてくるような授業を毎回行うことは現実的ではないでしょう。ただ、一年を振り返った時、こうした質問に答えられる授業を意識的に作ってみようと考えることは、授業の質を高める上で効果的ではないかと思います。

【家庭学習】
最後に、4月中に習慣化しておきたいことが「家庭学習の記録」という冊子づくりとその定着です。
家庭学習に関する記録を取っている学校は増えていますが、ここではそのポイントを確認しておきましょう(pp.18-19)。

一つ目は、冊子にするということです。プリントなどではなく、冊子とすることで「積み重ねの実感」を喚起できます。こうした物理的な仕掛けが意外に重要だったりします。
二つ目は、簡単に記録できるということです。教科別の家庭学習時間数に加えて、課外出席科目や起床・帰宅・就寝時間、読書・テレビ・娯楽時間などフォーマットを作っておき数字のみを記録させることで、記録もチェックも簡便になります。なお、ここには生徒と担任がコメントを書ける欄も設けておく必要があります。
三つ目は、フィードバックの仕方です。例えば、部活に忙しく勉強時間が少ない生徒にはどうコメントを返せばよいでしょうか。記事では、実際にその生徒の練習風景を観察したうえでコメントを返していました。つまり、「家庭学習をすることが難しい事情を、時間をとって直接に見ているよ」ということを示したうえでコメントしています。また、急に勉強時間数が減った生徒には、「どうですか最近?」と気にかけていることを示すコメントを返しています。

最後に、「生徒が寝られない裏ワザ100連発」(pp.44-46)というものありました。「お笑い系5」「声や音での刺激系9」「体への刺激系13」「気分転換系13」「ペナルティ系7」「ごほうび系2」「あきらめ系4」と実際には53個しかありませんが、ブレーンストーミングのようにしてこうしたアイディアを出し合っていくと言う機会を設けてもよいかもしれませんね。

http://www.amazon.co.jp/月刊-ホームルーム-2007年-02月号-雑誌/dp/B000LXS5O4/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1366598386&sr=8-1&keywords=月刊ホームルーム+2007年2月

一斉授業 100の原則

フェイスブック 2013年4月18日より

「一斉授業をつくる10の原理100の原則」の100の原則ですが、
「一度に一事を伝える」「机間巡視では一人につきっきりにならず全体を意識する」などはよく言われることです。

さらに、「活動している子(質問に答えている子)ではなく、それ以外の生徒に目を配る」などは、教室全体が見え始めた新任教師の段階でしょうか。発問の分化として、「何」「いつ」「どこ」「だれ」などは知識の定着なので必要であれば教師が答えても良いが、「なぜ」「どのように」は問う価値がある、というところも、授業設計の発問を考える際に意識すべきとよく言われるところですね。

しかし、よく言われることであるにも関わらず、色々な授業をみるとつい忘れがちになってしまうことが、「一斉授業のうまい下手は、攻め(話し方や見せ方)ではなく、子どもの反応を的確に受けられるかどうかにある」という視点ではないでしょうか。

子どもの反応を受けられるかどうかは、知識と経験に加え、センスもいるところですが、一定の「型」を身につけることでうまく受けられる部分もあります。

例えば、机間巡視にも一定の「型」があるようです。それは、気になる子を先に回り、机を隣と引っ付けている場合はその窓側と廊下側を2回回るように導線を考え、最後に気になる子を通って教壇に戻る、という順路です。こうすることで、気になる子の躓きをもとに全体への指導を考えられますし、最後に気になる子の出来具合をみてその子へのフィードバックもできるためだそうです。

また、そのことと連動してノート指導にも一定の「型」があります。原則は短く書かせることで、「○か×で書いてください。」「A・B・Cで書いてください」「短く書いてください」と形式をそろえることで、短い時間で教室全体の理解度を把握することができます。ただし、机間巡視やこうしたノート指導は、教師の意図するフレームの中で知識の定着や考えの発展を促す際の技術であり、子ども達にそのフレームを超えた議論をしてほしい時には異なるファシリテーション技術を使った方が良い場合もあります。

なお、ノートの取り方については、構造的な板書を写すのでなく、教師の話すことを聴写した結果、構造的なノートになっている状態がより望ましいという指摘は、授業アンケートの項目を考える際にも留意しておく必要がありますね。

そのほか、議論で詰めるべきは肯定・否定ではなく論拠の多さであるとか、教材研究は題材の素材研究と、子どもがその題材に抱くであろう抵抗を分析する学習者研究、題材と子どもたちを結びつけるためにとるべき手立てを開発する指導法研究など、教員養成課程でなんとなく聞いたことが改めて触れられています。こうした断片的な知識・理論を、実践と結びつけて身体化することが必要なのだと思います。

http://www.amazon.co.jp/一斉授業10の原理・100の原則―授業力向上のための110のメソッド-堀-裕嗣/dp/4761919221/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1366250720&sr=8-1&keywords=一斉授業10の原理・100の原則

一斉授業 10の原理

フェイスブック 2013年4月17日より

新年度が始まって2週間、学校も通常のリズムになりはじめ、いよいよ授業も軌道に乗り始めたころではないでしょうか。
昨年、20代の先生に集まってもらい、授業アンケートをもとにした振り返りを行う場に同席させていただきました。
大きく結果が向上した先生は、もちろん授業技術を意識されたことも影響していますが、同じ内容だったので指導の見通しがついたことが大きかったと言います。

授業は教師のわざの基本でありながら、これを学ぶ機会はおそらく20代しかないとさえ思います。なぜなら、30代、40代は校内でしなければならない仕事も多く、また仕事以外にも家庭でいろいろと変化がある時期だからです。一方で、20代は生徒と距離が近いことから授業が成立してしまう側面もあります。だからこそ、確かな考えを持って、自分の授業を磨かないといけないのだと思います。

今回読んだ、「一斉授業 10の原理 100の原則」は、その意味で割合参考になりそうな本だと思います。この本では、最初の「①ゴールイメージの原理」にこう書かれています。
「最初に教材研究する教材、それは年度の最後の教材です。」

当たり前のことですが、おそらく授業経験の浅い先生は、指導すべき内容をどのように説明していくか、その背景知として調べなければならない項目は何か、に気が向くのだと思います。

しかし、この年度の最後に、子どもがどのようなことを学び、どのような力を身につけていなければならないか、という点がしっかり決まっていなければ、楽しい授業にはなっても、身に付く授業にはならないのでしょう。

また、一斉授業ではあっても、知識を学びに変えるためには授業の構成を変えなければならないと言います。それは、
1)課題の設定
2)知識・技術の解説
3)ペアによる確認(頻繁にペアを変える)
4)個人による課題への取り組み
5)グループワーク(5~8分)
6)課題解決短作文
という流れです。
実際にやってみるとわかりますが、これは生徒の反応もよい構成です。

このような構成で考えることで、
「今日は何をやろうか/教えようか」という視点から、
「今日は何について話し合わせようか/書かせようか」という視点で授業づくりが進むからです。
この視点は、より深い教材の理解や、発問の有り方につながります。また、説明の時間が短くなることで、教える内容の精査・構造化が必要となり、授業の重要ポイントがより明確になります。

次回は、100の原則について少し紹介したいと思います。

http://www.amazon.co.jp/s/ref=nb_sb_ss_i_0_4?__mk_ja_JP=%83J%83%5E%83J%83i&url=search-alias%3Daps&field-keywords=%88%EA%90%C4%8E%F6%8B%C6%82P%82O%82%CC%8C%B4%97%9D%81E%82P%82O%82O%82%CC%8C%B4%91%A5&sprefix=%88%EA%90%C4%8E%F6%8B%C6%2Caps%2C723