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2013年11月14日木曜日

技術タイプ別上達法②

「発問・説明・指示を超える技術 タイプ別上達法」
最後に授業力に関して書かれていることを少し挙げておわりにしたいと思います。

どうすれば生徒が授業に集中してくれるか。
もしあなたが、授業力タイプの先生なら「1授業1モノ主義!」、学級経営力タイプなら「グループ活動」を実践してみては、というアドバイスが載っています。

また、授業アンケートの項目にもありますが、「話し方がはっきりしていない」という場合、授業力タイプなら「最初の3分に話すことをすべてノートに書く」(一部がよくなると全体がよくなる」、学級経営力タイプなら「語尾の形を決める」(「だね」「かな」「してごらん」 普段と同じ調子でなく、授業で生徒を納得させる話法を意識する)とあります。

興味深いのは、全員を参加させる授業とするために「自分の意見を言わせない」という技術です。これは、ペアやグループでの他の人の意見を言う、というもので、お互いに話をよく聞き、理解することが必要になります。もちろん、最終的には他者の意見を取り入れて自分の意見を練り上げる必要はありますが、一部の生徒を中心に授業が展開している時などは使ってもよい手法ではないかと思います。

さて、最後に人間力に関する技術を残しましたが、これは実際に本を取ってみて頂ければと思います。一つだけ、「観察眼を鍛える」という項目で、授業力タイプであれば「一番を見る」(一番最初と最後にノートを取り終える生徒、など)というアドバイスがありました。

いくつかの学校で集まってこうした本を作るのも楽しいかもしれませんね。

http://www.amazon.co.jp/発問・説明・指示を超える技術タイプ別上達法-山田洋一/dp/4904785401/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1359428502&sr=8-1

技術タイプ別上達法

1月は多くの学校にとって入試のシーズンですが、私たちにとっては授業アンケートの報告書作成の時期となります。しかし、いつももどかしいのは、データ分析で導かれる授業の課題はあくまで抽象的なものであり、実際にどのようなことをすればよいのか、という先生たちの声に十分に応えられていないのではないかという点です。
そこで、面白い本を見つけました。

山田洋一「発問・説明・指示を超える技術 タイプ別上達法」さくら社、です。

この著者は、若いころに優れた先生の実践を「追試」してみたがうまくいかなかったという経験をしています。
私たちも、授業アンケートの結果から導かれる「良い実践」から学ぶことを推奨していますが、この先生は、単純にマネをすればよい、というものではないと言います。

本当に有効な教育技術というのは、「子どもの実態に寄り添って選択された一つの方法」と言います。

この言葉から、つぎのような学びを引き出せます。

1.多くの選択肢を持てるだけの授業理論・技術・経験を持つ必要がある。

2.選択肢と子どもの実態をどのようにマッチングさせるべきかを理論と経験から、しかも授業という瞬間の中で判断し、実践できる力を身につける必要がある。

ということです。

そして、まずは自分のタイプを知ることから始めようと、質問リストを用意されます。ここでその質問リストを挙げることは控えますが(著作権というものがありますので)、大きく次の3つのタイプを提示します。なお、小学校の先生を想定しています。

a.授業力タイプ:学級のルールや仕組みづくりは甘いが、とにかく授業が面白く子どもを引き付ける。

b.学級経営力タイプ:授業は上手とは言えないが、子ども達がよく育っていて、暖かい雰囲気の学級を作っている。

c.人間力タイプ:休み時間に多くの子どもに慕われている、物腰は柔らかいが子どもが言うことを聴く、子どもを怒鳴りつけるのに慕われている

みなさんはどのタイプに当てはまるでしょう。
次回は、それぞれのタイプに応じた具体的な技術を紹介していこうと思います。

http://www.amazon.co.jp/発問・説明・指示を超える技術タイプ別上達法-山田洋一/dp/4904785401/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1359428502&sr=8-1

2013年9月18日水曜日

教師という仕事と授業技術




授業アンケートでは、授業における指導力を要素分解して、それぞれの要素の重要度と満足度を分析します。
しかし、要素的であることには限界があります。

ある授業がうまくいくかどうかは、その授業に対して準備する熱量と時間、技能と経験があったかどうか、そのクラスとの関係性を構築するうえでの相性と期間・取組、その単元についての自身の理解や体験、その日授業をする時の教師と生徒のコンディション、授業の流れの中での生徒の反応、そうした様々な条件や不確実性をコントロールして、偶発性の中で自然と身体が動くかどうか、こうしたことまで授業アンケートだけでは測りきれません。

授業の「技術」というと、何か確かなものが想起されるかもしれませんが、それを言葉で伝えようとすると授業の「肝」になっていることをつかみ損ねてしまうような隔靴掻痒の思いをします。

しかし、授業の名人・達人は存在します。では、何がその先生たちを名人・達人たらしめたのか。それは、リフレクションなのだと思います。

上智大学の奈須正裕教授が「教師という仕事と授業技術」という本で、名人は授業の上達のために何かしら継続して行っていることがあると言います。
「放課後、教卓に座り、子どものいない机に一つづつ目を落として、今日この子はどうしていたか、自分はこの子に何をしてやれたかを考える」
「自分の授業をテープに録音し、授業記録におこし、行き帰りの電車で何日も繰り返し読み込む」
こうしたリフレクションに基づく改善を地道に継続した結果、驚くような授業が生まれるのだそうです。

その他、授業を振り返る際の視点もいくつか紹介されています。

「この単元では、学習指導要領の内容項目の何番と何番を狙っているか」

「どうせやるなら本物を目指す」

「その子の言おうとしていることを、教室の誰よりも教師自身が聴きたい、知りたいと思う」

「予定を消化するために先に進む『技』よりも、止まるべきところでキチンと止まる『技』の方が、より高度にして本質的である」

「多くの教師は前半部ではよく止まるが、残り時間が減ると止まらなくなる。名人はむしろ後半部においてよく止まる。」

「一つの単元を生み出すのに、3種類の異なる流れを考えてみる」
「指導案と現実のズレこそ重要な情報である」

「研究の勢いが衰えない学校は、必ずと言っていいほど子どもの学びを研究の中心に据え、常に具体的な子どもの姿を語ることから、すべてを開始している」

「丹念な実践の事実との向かい合いから紡ぎだされた言葉こそが実は確かな理論」

などです。

初任者であれば、まずは自分の授業をICレコーダーやビデオに収録して、丁寧に授業記録を起こすという作業から始めましょう、と提案されています。そして、超一流の授業や先生に深く親しむことが大事だといいます。しかし、何か超一流であるかは素人にはわかりません。そこにこそ、先輩教師が助言できることがあるのかもしれません。

http://www.amazon.co.jp/教師という仕事と授業技術-学力が身に付く授業の「技」-奈須-正裕/dp/4324078335/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1379480004&sr=8-1&keywords=教師という仕事と授業技術

2013年9月2日月曜日

授業を振り返る3つの質問

2013年4月22日 フェイスブックより

授業が本格化したと思ったらゴールデンウィークに突入し、なかなかリズムをつくるのが難しいですね。しかし、ゴールデンウィーク前にきちんと学ぶ姿勢を作っておき、ゴールデンウィークを計画的に過ごすことができれば、よいスタートが切れるかもしれません。そこで、2007年2月の月刊ホームルームの特集「生徒の学ぶ意欲を引き出す教師の力」から、参考になる箇所を拾ってみます。

【フロウ体験】
生徒の学ぶ意欲を考える上で知っておくと良い言葉として、フロウ体験という言葉があります。ためしにパソコンで打って見て頂くと、なかなか興味深い漢字に変換してくれる言葉です。
これは、端的に言えば無我夢中になりその課題に没頭する状態です。学ぶ意欲にひきつけて言えば、「課題の難度と生徒の能力の組み合わせによって生徒が感じる「不安」と「退屈」が、バランスのとれている場合に生じる体験」と説明されています(p.8)。

「ちょうどよい課題の設定」、これは教師のわざの中でもかなり高度な部類に入るのではないでしょうか。これを行うためには、まず体系的かつ深い教材理解が必要となることに加え、生徒個々の理解度のみならず、その性格までも把握しておくことが必要とされます。その上で、生徒に「入る」角度での質問や課題設定をする技術が要求されます。
習熟度別授業であれば、ある程度クラスのレベルに応じた課題を設定されている先生は多いでしょう。クラスのバラつきが大きい場合は、ある程度できる生徒、あまりできない生徒、部活などで時間がとれない生徒、と大きく3段階くらいに分けて課題を設定されている先生もいらっしゃいました。

【授業を振り返るための3つの質問】
また、これは教科会や学年会、もしくは今夏の研修会などでこうしたことを考える機会を設けるとよいと思う記事もありました。「博士の愛した数式」という映画から始まるこの記事は、自分の授業を考え直すために3つの質問を設けています(p.16)。

1.先生の実践を一つだけ聞きたい、と言われたらどの授業の話をしてくれますか?
2.先生の教え子たちに、「○○先生の授業で、いい意味で印象に残っている授業は何ですか?」と聞いたら、生徒は何と答えると思いますか?
3.退職を迎えたとき、最後の授業としてどんな授業をしたいですか?

これら質問は、自分の授業を意識化する上で面白い質問だと思います。もちろん、日常の授業において、映画にでてくるような授業を毎回行うことは現実的ではないでしょう。ただ、一年を振り返った時、こうした質問に答えられる授業を意識的に作ってみようと考えることは、授業の質を高める上で効果的ではないかと思います。

【家庭学習】
最後に、4月中に習慣化しておきたいことが「家庭学習の記録」という冊子づくりとその定着です。
家庭学習に関する記録を取っている学校は増えていますが、ここではそのポイントを確認しておきましょう(pp.18-19)。

一つ目は、冊子にするということです。プリントなどではなく、冊子とすることで「積み重ねの実感」を喚起できます。こうした物理的な仕掛けが意外に重要だったりします。
二つ目は、簡単に記録できるということです。教科別の家庭学習時間数に加えて、課外出席科目や起床・帰宅・就寝時間、読書・テレビ・娯楽時間などフォーマットを作っておき数字のみを記録させることで、記録もチェックも簡便になります。なお、ここには生徒と担任がコメントを書ける欄も設けておく必要があります。
三つ目は、フィードバックの仕方です。例えば、部活に忙しく勉強時間が少ない生徒にはどうコメントを返せばよいでしょうか。記事では、実際にその生徒の練習風景を観察したうえでコメントを返していました。つまり、「家庭学習をすることが難しい事情を、時間をとって直接に見ているよ」ということを示したうえでコメントしています。また、急に勉強時間数が減った生徒には、「どうですか最近?」と気にかけていることを示すコメントを返しています。

最後に、「生徒が寝られない裏ワザ100連発」(pp.44-46)というものありました。「お笑い系5」「声や音での刺激系9」「体への刺激系13」「気分転換系13」「ペナルティ系7」「ごほうび系2」「あきらめ系4」と実際には53個しかありませんが、ブレーンストーミングのようにしてこうしたアイディアを出し合っていくと言う機会を設けてもよいかもしれませんね。

http://www.amazon.co.jp/月刊-ホームルーム-2007年-02月号-雑誌/dp/B000LXS5O4/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1366598386&sr=8-1&keywords=月刊ホームルーム+2007年2月

一斉授業 100の原則

フェイスブック 2013年4月18日より

「一斉授業をつくる10の原理100の原則」の100の原則ですが、
「一度に一事を伝える」「机間巡視では一人につきっきりにならず全体を意識する」などはよく言われることです。

さらに、「活動している子(質問に答えている子)ではなく、それ以外の生徒に目を配る」などは、教室全体が見え始めた新任教師の段階でしょうか。発問の分化として、「何」「いつ」「どこ」「だれ」などは知識の定着なので必要であれば教師が答えても良いが、「なぜ」「どのように」は問う価値がある、というところも、授業設計の発問を考える際に意識すべきとよく言われるところですね。

しかし、よく言われることであるにも関わらず、色々な授業をみるとつい忘れがちになってしまうことが、「一斉授業のうまい下手は、攻め(話し方や見せ方)ではなく、子どもの反応を的確に受けられるかどうかにある」という視点ではないでしょうか。

子どもの反応を受けられるかどうかは、知識と経験に加え、センスもいるところですが、一定の「型」を身につけることでうまく受けられる部分もあります。

例えば、机間巡視にも一定の「型」があるようです。それは、気になる子を先に回り、机を隣と引っ付けている場合はその窓側と廊下側を2回回るように導線を考え、最後に気になる子を通って教壇に戻る、という順路です。こうすることで、気になる子の躓きをもとに全体への指導を考えられますし、最後に気になる子の出来具合をみてその子へのフィードバックもできるためだそうです。

また、そのことと連動してノート指導にも一定の「型」があります。原則は短く書かせることで、「○か×で書いてください。」「A・B・Cで書いてください」「短く書いてください」と形式をそろえることで、短い時間で教室全体の理解度を把握することができます。ただし、机間巡視やこうしたノート指導は、教師の意図するフレームの中で知識の定着や考えの発展を促す際の技術であり、子ども達にそのフレームを超えた議論をしてほしい時には異なるファシリテーション技術を使った方が良い場合もあります。

なお、ノートの取り方については、構造的な板書を写すのでなく、教師の話すことを聴写した結果、構造的なノートになっている状態がより望ましいという指摘は、授業アンケートの項目を考える際にも留意しておく必要がありますね。

そのほか、議論で詰めるべきは肯定・否定ではなく論拠の多さであるとか、教材研究は題材の素材研究と、子どもがその題材に抱くであろう抵抗を分析する学習者研究、題材と子どもたちを結びつけるためにとるべき手立てを開発する指導法研究など、教員養成課程でなんとなく聞いたことが改めて触れられています。こうした断片的な知識・理論を、実践と結びつけて身体化することが必要なのだと思います。

http://www.amazon.co.jp/一斉授業10の原理・100の原則―授業力向上のための110のメソッド-堀-裕嗣/dp/4761919221/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1366250720&sr=8-1&keywords=一斉授業10の原理・100の原則

一斉授業 10の原理

フェイスブック 2013年4月17日より

新年度が始まって2週間、学校も通常のリズムになりはじめ、いよいよ授業も軌道に乗り始めたころではないでしょうか。
昨年、20代の先生に集まってもらい、授業アンケートをもとにした振り返りを行う場に同席させていただきました。
大きく結果が向上した先生は、もちろん授業技術を意識されたことも影響していますが、同じ内容だったので指導の見通しがついたことが大きかったと言います。

授業は教師のわざの基本でありながら、これを学ぶ機会はおそらく20代しかないとさえ思います。なぜなら、30代、40代は校内でしなければならない仕事も多く、また仕事以外にも家庭でいろいろと変化がある時期だからです。一方で、20代は生徒と距離が近いことから授業が成立してしまう側面もあります。だからこそ、確かな考えを持って、自分の授業を磨かないといけないのだと思います。

今回読んだ、「一斉授業 10の原理 100の原則」は、その意味で割合参考になりそうな本だと思います。この本では、最初の「①ゴールイメージの原理」にこう書かれています。
「最初に教材研究する教材、それは年度の最後の教材です。」

当たり前のことですが、おそらく授業経験の浅い先生は、指導すべき内容をどのように説明していくか、その背景知として調べなければならない項目は何か、に気が向くのだと思います。

しかし、この年度の最後に、子どもがどのようなことを学び、どのような力を身につけていなければならないか、という点がしっかり決まっていなければ、楽しい授業にはなっても、身に付く授業にはならないのでしょう。

また、一斉授業ではあっても、知識を学びに変えるためには授業の構成を変えなければならないと言います。それは、
1)課題の設定
2)知識・技術の解説
3)ペアによる確認(頻繁にペアを変える)
4)個人による課題への取り組み
5)グループワーク(5~8分)
6)課題解決短作文
という流れです。
実際にやってみるとわかりますが、これは生徒の反応もよい構成です。

このような構成で考えることで、
「今日は何をやろうか/教えようか」という視点から、
「今日は何について話し合わせようか/書かせようか」という視点で授業づくりが進むからです。
この視点は、より深い教材の理解や、発問の有り方につながります。また、説明の時間が短くなることで、教える内容の精査・構造化が必要となり、授業の重要ポイントがより明確になります。

次回は、100の原則について少し紹介したいと思います。

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