2002年の総合的な学習の時間を機に、高校で卒論を書く取り組みを全校で取り組んだ学校に、立ち上げのステップを伺ってきました。
最初は、ボランティアで3人で始めたそうです。中心となった方が、カリキュラムの設計図を描き、定期的に職員会議にかけます。校長の後押しもありましたが、ほとんどの先生が反対していたなかでのスタートでした。
そこで、宅間紘一『はじめての論文作成術』(日中出版)をもとに授業用のハンドブックを作り、著者に教員研修会、生徒向け講演会に来てもらいます。この本は全教員に配布したそうです。
1年目の高1は1年間かけて問いを作ります。
まず、興味があることを政治、音楽、と10個ほど挙げ、そこから絞っていく。週に2時間、図書館に行き、それぞれの関心ある分野の本を読んだり調べたりして、情報カードに基礎知識を蓄え、ある程度たまればまとめの文を書きます。学習カルテに日付、したことやわからないことを書きます。これに、中心となった人がおひとりで180人分のコメントを毎週つけたということです。
このようにして調べる中で、問いを立てていきます。一人一時間づつ、放課後や夏休みを利用して面談し、本で調べてわかるようなことだからダメ、と指導します。これもおひとりでされたそうです。パッションには情熱と受難の両義性がある、と実感したと振り返ります。翌年、別の担当者になると、担任が担当することになりました。
高2で、アウトラインとサブテーマを細かに考え、10枚程度の予備論文を作成します。これにも、全員分のコメントをおひとりでつけたそうです。翌年は担任がすることとなりました。草分けは一人でしなければいけないが、道を作れば、あとに続く人が考えながら工夫すればよい、ということです。
中間発表が、高1で2回、高2で2回、高3で1回。なぜそのテーマなのか、何をやっているのか、などを2分程度で発表します。これに、一人の生徒が20人分くらいを担当し、コメントカードを書きます。一度教員が回収して、本人に返します。
高3で、400字詰めで50枚以上の論文を提出します。機械的に一人の教員が6、7人分くらいの生徒の論文を担当します。一つの論文を二人の教員が採点します。小笠原喜康「大学生のためのレポート・論文術」を参考に、注の付け方などの形式もしっかりと意識します。中心となった方が評価ルーブリックを作成しました。内容や形式について3段階の評価です。例えば、金子みすずを取り上げた論文を、数学の先生と音楽の先生が見ることになったそうですが、あまり評価はぶれなかったということです。これで、A評価になった論文は、論文集に掲載されます。
現在は、対象生徒を絞り、専任や講師の7人チームで、一人が20人を見る形態になりました。
この取り組みの意義は、国語の四技能、読む、聞く、話す、書くのすべてが、論文を書くという取り組みで伸ばせること、何より本をたくさん読むことになります。加えて、図書館やインターネットの使い方がわかり、パソコンでの資料・論文作成力もつきます。考えることに夢中になる、本を読むことに夢中になる、表現することに夢中になる、このように夢中になることで、他教科への関心も高まる、ということです。