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2014年3月11日火曜日

すごい先生たち

授業アンケートをしていてびっくりすることは、とても高い結果を出していながら、2回目にさらに高い結果を出す先生がいることです。もちろん、同じ年度、同じ生徒です。授業満足度に関する4択の選択肢で、否定的な意見(選択肢3,4)を選ぶ生徒がゼロ、というのは、先生冥利に尽きるのではないでしょうか。

もう一つは、「いろいろあるなかで、これだけは意識する」と決めたことが、きちんと結果に表れることです。授業満足度は様々な要因(進度や難易度、生徒のモチベーションやクラスの状態など)が影響して、思うようにいかないこともありますが、授業の特徴(生徒の理解度を確認してくれる、教科書以外の教材を工夫してくれる、など)は、意識したことが生徒に伝わっている様子が伺えます。

こうした先生たちの自由記述は当然のことながら、読んでいて「これだけ生徒から信頼されてるって、すごいなぁ」と思うようなコメントが並びます。このコメントが、一番先生をやる気にさせるのではないでしょうか。

2013年11月14日木曜日

授業アンケートとシラバス

授業アンケートの報告会を継続して行っている学校ですので、今回はハードルを上げた取り組みでした。

1.学力診断テストとアンケート結果の関連性の検証

まず、学力診断テストとアンケート結果の関連性の検証を行いました。

その結果、数学では関連が見られました。学力向上実感が学年を経るごとに上がっていたのですが、これに伴い実際の学力も上がっていたのです。つまり、アンケートで学力の向上を実感しているという結果と、実際の偏差値の連動が見られました。

英語では、低学力層ではアンケート結果と診断テストが関連していましたが、高学力層では関連があまり見られませんでした。
低学力層にフォーカスした授業づくりは、実際の学力向上にもつながっているけれども、高学力層についてはうまく連動していないのです。
より詳しく言えば、実際の学力は上がっているけれども、学力向上実感は下がっていたのです。

このズレは発見でした。

なぜなら、もしアンケートだけを見ていたら、「この学年の学力は下がっているのでは」という結論になるかもしれません。一方で、学力診断テストだけを見ていたら、「この学年の学力は上がっている」と判断してしまい、目の前の生徒が「学力が上がっていないのでは」という気持ちを抱えていることに気づかずにいた可能性もあったからです。

アンケートと学力診断テストを合わせて分析することで、バランスのとれた視点で生徒の状況を捉えることができました。また、高学力層にも焦点を当てた授業づくり、という課題を設定することもできました。

また、英国数とも予習復習と学力診断テストの結果がうまく連動していないという発見もありました。
ここから、予習復習の量と質を詳しく検証していく必要がある、という課題を導くことができました。

2.授業実践の振り返り

次に、授業実践の振り返りを行っていただきました。

前段階として、夏の研修会で前期の授業を単元ごとに振り返り、後期に向けて意識すべき単元を設定していただいていました。
その単元について、ある一コマの授業を思い出して頂き、特に生徒とのやりとりを中心に書き出して頂きました。
会話を書きだして頂いた後、その横に「この会話の際、どのようなことを考えていたか」を書いていただきました。

お気づきの方もいらっしゃると思いますが、アージリスとショーンの「組織学習」(Chris Schon, David A. Argyris,1995,Organizational Learning II: Theory, Method, and Practice)で使われていた手法です。

実践(practice)の中で無意識的に使っている「わざ」を意識化・言語化して、振り返りを行い、自分が当たり前に思っていたことを捉えなおし、より良い実践を検討する(ダブルループ・ラーニング)ためのワークです。

年配の先生であればされている方もいらっしゃると思いますが、「授業実践記録」を日々つけて振り返りを行い、授業の腕を磨くという授業研究と同じ手法です。

はじめての試みでしたが、みなさんは予想を上回るペースでシートを書き上げ、そのシートを元に議論を重ねていらっしゃいました。ダルビッシュ投手やイチロー選手は、自分の投げた球、打った球を一球一球鮮明に覚えていますが、こうした実践の記憶力もまたプロフェッショナルの要件なのかもしれません。

中には生徒のことがあまり書かれていないシートもありました。もちろん、実際の授業ではうまく対応されていたり、書くまでもないと思っていらっしゃたり、先生の熱意ある授業に生徒が真剣についていってる、ということもあると思います。

ただ、生徒の反応がよく書かれたシートからは、「この先生は授業中よく生徒のことを見ているのだな」と感じました。野球と同じで、投げられた球(生徒の反応)に瞬間的にどう対応するかが授業で求められるのかもしれません。もちろん、豪腕投手なので(説明がうまいので)、いつも三振(生徒が参ってしまう)ということもあるかもしれませんが。

このような授業の振り返りシートを、すでに作成されているシラバスの対応する単元に紐付け、シラバスの振り返り・肉付けを行うというところまでしていただきました。

今後は単元ごとの研究授業の計画や結果などもシラバスに紐づくとよいのかもしれません。

3.生徒向けスタディ・ガイドの作成

ワークの最後では、次年度のシラバスをもとに、生徒向けのスタディ・ガイドを作って頂きました。
シラバスは外部向けということもあり、表現がとても固いです。なので、4月の1回目の授業で生徒に配布するイメージで、「先生からのメッセージ」「この科目のおすすめ学習方法」など、先生のキャラクターがすこし出るような表現で、しかもこの科目のエッセンスを捉えているようなスタディ・ガイドを作成いただきました。最後に、そのスタディ・ガイドの通りに生徒が学習したと想定した授業アンケート結果の予測をしていただき、次年度に向けた話し合いを行っていただきました。


このようによく考え、話し合っていただいた3時間半ではなかったかな、と思います。

欲を言えば、定期的に授業観察を行い、先生の行動と生徒の行動の双方を踏まえた観察データに基づき、授業研究会を開いていただくと良いかなと思います。
コマ数の関係上、物理的に観察することが難しいと思います。以前であればビデオを使った授業研究もありましたが、最近伺った中学校ではipadの録画機能を使って手軽に撮影されている事例もありました。より授業研究のしやすい環境になっているのかもしれません。

授業づくりと大学のかかわり

四国の大学では、授業アンケートや授業観察からさらに一歩進め、授業の多様性を踏まえた上での授業コンサルティングをするネットワークづくりが進められているようです。

愛媛大学教育企画室
『研修プログラムガイド2012』
出版日:2012年5月

http://web.opar.ehime-u.ac.jp/books/img/spod-programguide_h24.pdf

授業評価の科学③

授業評価の科学③

国語科の教科会改革や結果の向上した先生に対する記述アンケートの結果などが載っています。
http://www.humanlink.info/jyugyobook3.pdf

授業評価の科学②

理科、英語、社会で結果が向上した先生の授業を見せて頂いたり、インタビューさせていただいた内容が載っています。
http://www.humanlink.info/jyugyobook2.pdf

2013年11月1日金曜日

授業見学後のインタビューについて

先日、授業力研修に参加いただいている若い二人の先生がたの授業を見学させていただきました。授業アンケート結果が良く、その実態を見たかったためです。

お一人はよく準備されたスライド資料をもとに、様々な話題を提供しながら生徒を引きつける授業をされていました。もう一人は、生徒に高いハードルを課し、それを生徒同士が協力しあいながら超えさせるような授業をされていました。どちらもまだ2,3年目の先生です。
生徒をよく見て、教科の専門性を踏まえて様々な展開や長期の展望を持ち柔軟に対応する経験が必要で、教師の熟達を測る一つの指標はその引き出しの多さや展開のパターンの多さだという見方もあります。
お二人の先生はまだ若いですが、よく生徒を見て、生徒のことを考え、努力と熱意をもって経験のなさを克服されようとしていました。

授業を振り返るには二つの方法があるようです。一つは、「どうすれば学習目標に到達させられるか」という技術的な振り返り。もう一つは、「この授業はどのように理解できるか、すべきか」という解釈的な振り返りです。前者の代表格は向山洋一氏の法則化運動で、技術的専門家像を想定します。後者については以前はカリキュラム設計や教材解釈を中心としていましたが、近年は複雑かつダイナミックに変化する状況で用いられる実践知に迫るための反省的実践家像を想定します。二つのモデルは共存可能とされます。

こうした考えをもとに、授業後にお二人に質問した内容は、以下のような項目です。質問を通じて相手が自分の実践を振り返り、気づきや学びが得られるかがポイントになります。また、色々な先生の授業を見学し、話し合えればと思います。

【授業見学後のインタビュー項目】
●クラスの状況について
担任であるかどうか どういうクラスか 
   担任の指導方針 学級目標 志望進路 
   提出物の状況 授業のしやすさ 勉強に対する自信

●授業アンケートをどのように読んだか
選択肢1の多い質問(強い回答) 授業の特徴 自由記述 
  その結果の生まれた理由

●今日の授業のポイント
何回目の単元か 
  教材観(難しさ、教師から見て不十分に感じるところ、
生徒が読んでわかりづらそうなところ)
今日の単元・授業で生徒の学びを深める重要な質問
なぜこの単元を学ぶのか 
   この授業で生徒につけてほしい力
この単元の指導のポイント
なぜ今日の授業スタイル(講義・演習・グループ)をしようと思ったか
生徒の関係性や状況をどのようにみていたか どういう動きを予測していたか

●今日の授業の自己評価
事前に予測した状況に対して実際はどのように動いたか どういう動きをしたか
どの生徒が学んでいたか/学んでいなかったか 
どの生徒の学びを思い出せるか/思い出せないか

●他の先生ならどのようなことをいうかの予測

●授業記録をもとにした振り返り

●見学した先生の意見や授業中の制作物(ノート・プリント)に基づく授業の全体像の補完

●今日の授業の別の可能性


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